2012.01.18

枠組みの大事さ

好き放題の生活の中で育った子どもは、いつまでたってもフラフラします。自分自身の軸がないので、他人の話に翻弄されたり、すぐにパニックになったりしてしまいます。
だから私は、制約のある枠組みの中で育つことはとても大事なことだと思っています。

ある意味、不自由な状態は子どもの強さを育てるにはとても有効です。ただその不自由さに子どもが同意してないといけません。同意がないと、そこには反発だけが残ってしまうからです。

不登校の子どもたちの家庭が不安定な状況になってしまうことは、よくあることです。家が不安定だから子どもが不安定になるのか、子どもが不安定だから家が不安定になるのか、それはわかりません。ただ確かなことは、それらが互いに連動してしまうということです。

だからアウラでは、枠組みを大事にしています。アウラが居場所としての形態をとるのではなく、一つの学び場としての形態をとるのはそのためです。ここでは子どもたちは、学習という活動を通して互いにつがリあっているのであって、ただ何となく集まっているわけではないのです。そこは一つの共同体なのです。

共同体は、ある意図を持った集団です。そしてそれぞれのメンバーがその意図を尊重することで成立していく集団です。だからそこには、ルールがあり、枠組みがあるのです。つまり自分がその共同体に所属していくためには、その枠組みを受け入れる必要があるわけです。それがいやなら、その共同体から出て行くという選択をすればいいだけです。

ただアウラでは、共同体としての枠組みが尊重されると同時に、学習者個人も尊重されます。それぞれに事情を抱えた子どもたちですから、彼らに対する配慮もなされます。だからアウラは、集団の枠組みと個人の状況との間で常にバランスを取って成立している場だとも言えるのかも知れません。私は、これを「汽水領域」と呼んでいます。

汽水領域の中では、絶えずその枠組みが更新されていきます。実際、アウラにおいてもそこに参加する子どもの状況でその枠組みを更新させています。だから、ある意味で不安定さを内在化させています。ここが、学校ともただの居場所とも違うところです。枠組みを大事にしながら、その枠組みそのものを絶えず更新させていく。それがアウラの組織論でもあるのです。

2012.01.17

不安はマイナスの期待?

子どものこれからのことについて不安を抱かれる親は多いと思います。

子どもが学校へ行かなくなると、
「高校へ行けなくなるのではないか」
「ひきこもりになるんではないか」
「仕事につけなくなるのではないか」
「結婚できなくなるのではないか」
親の不安は、どんどん膨らんでいきます。

そう、不安は常に新しい不安を作り出していくものです。不安は、自分自身の作り出す世界です。創造性の産物なんです。だからいくらでも作り出すことができるわけです。

不安を抱きやすい人は、次第に視野が狭くなります。視野を狭くするほうが、不安を作りやすくなるからです。だからどんどん不安が膨らみ、どんどん視野が狭くなるというマイナスの循環が生まれることになります。これがひどくなると、鬱になるわけです。

ただ今回は、不安を抱く親のことを考えるのではなく、その不安を目の前の子どもがどんな風に受け止めるかを考えてみたいと思うんです。

不安はマイナスの期待だと私は思っています。親の頭の中には、どうしようもなくなっていく子どもの将来へのイメージがあるからです。つまり子どもへの不安は、暗にマイナスのイメージを示すことになるわけです。生活を共にする家族ですから、口に出さなくても伝わってしまいます。

だから親は、その不安がもたらす影響について自覚的になるべきだと私は思っています。実際、これからのことはどうなるかわかりません。それは不登校の子どもだけじゃありません。普通に学校へと通う子どもだって同じことです。同じどうなるかわからないのであれば、プラスの期待を持って、希望を持って生きたほうが幸せだと私は思うのです。

どうなるかわからないことを引き受けられる。これもまた人間の大事な能力のように思うのですが、いかがでしょうか?

2012.01.16

家族の恢復

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不登校やひきこもりの子どもたちが、次第に自信を取り戻し自分の道を歩き始めるようになると、同時にその家族が本来の機能を取り戻していくことがよくあります。

例えば…
今まで家族に無関心だったお父さんが、前面に出るようになった。
夫婦の話し合いが多くなった。
みんなで夕食を食べるようになった。
家族で久しぶりに出かけるようになった。
おじいさんとおばあさんの仲が良くなった。
これらは、数え上げればきりがありません。でもみんな当たり前のようなことなんですが、その当たり前の行動の中に家族の大事な機能が隠されているように思うのです。

アウラは不登校の子どもたちにとっては、学びの場所であると同時に生活の場所でもあります。実はここが普通の塾と違うところです。だから生活の場としてのドラマが起こってきますし、もう一つの家族のような機能を持つことになります。そして子どもたちは、ここで新しい生活を体験し、これまでの生活を振り返るのです。

ここでは、子の振り返るという「省察性」がとても大事になってきます。新しい体験をして初めてその違いがわかり、課題が見えてくるからです。そして子どもたちは、そこに向き合うのです。すると彼ら自身に変化が生じ、その変化が今度は家族そのものに影響を与えるのです。

こんな風に考えると、不登校の子どもが家族の変容の重要なカギになっていることがわかります。子どもが学校へ行かなくなったことで、初めて失われつつあった家族の機能にみんな気が付き始めるように思うのです。

2012.01.13

家族療法

京都の家庭支援総合センターで開かれていた。
家族療法の研修に参加してきました。
講師の先生は、京都学園大学教授の川畑隆さん。
もう5年以上お付き合いをさせてもらっています。

ある特定の家族のケースについて家族療法の観点から見立てを行い、それを全体でシェアーをしていくという内容でしたが、川畑先生の軽快なトークのおかげでで実にわかりやすいものとなったように思いました。私にとっては、随分久しぶりの家族療法のワークショップで、そこで使われているキーワード、例えば、バウンダリー、フレーム、パワー・・・、なんていうキーワードにどこか懐かしさを覚えました。

私は今から20年以上前、家族療法をかなり真剣に学んだ時期がありました。当時は、立命館大学大学院教授の団士郎さんや同志社大学教授の早樫一男さんたちがまだ児相におられた頃で、一生懸命になってS.ミニューチンの提唱する家族療法を普及させておられました。そして当時まだ30歳前だった私は彼らの主催するワークショップによく参加させてもらっていたのです。

家族療法では、家族の機能をとても重視します。
その機能が十分発揮されない家族の構造を見抜き、その機能を回復させるように支援を行っていきます。

例えば、家族の中のバウンダリー、これは境界のことですが、ここでは世代間の境界を指しています。健全な家族においては、おじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、そして子どもたちと、その世代間にはっきりした境界があり、それぞれのメンバーはその世代の中で連合関係を構築するものと考えられているのです。

もう少しわかりやすく説明してみましょう。
例えば、お父さんが自分の母親から自立していないという例を考えてみましょう。お父さんは、困ったことがあるとお母さんではなく自分の母親に相談します。もちろん、そんな夫婦関係がうまくいくはずがありません。お母さんはその不満を自分の子どもを巻き込むことで処理しようとします。ここに今度は母親と子どもとの癒着が始まるのです。こうして家族内のバウンダリーがうまく形成されないと、家族の機能が低下することになるのです。

こんな風に家族療法では、その問題を個人に帰結しません。その問題を家族の構造やその機能のあり方に見出そうとするのです。そこが実に新鮮だったわけです。そして今日久しぶりに家族療法の原理を学び、改めてその考え方の素晴らしさを実感した次第です。

2012.01.12

朝、起きられない

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学校へ行かない子どもたちの生活が夜型になるのは、よくある話です。その理由は簡単です。

昼間にはほとんど何もすることがないか、あるいは昼間に何もしないでいると誰かに何か言われたりする可能性があるからです。だから昼間の間は、ずーっと寝ていて夕方ころから行動を開始します。そして夕食をとり、あとはゲームをするかテレビを見るかもしくはパソコンするかです。最近では、テレビの番組や映画なんかもyoutubeで見られるようになりましたからね。そして朝方まで、自分の部屋でゴソゴソと活動してからベッドに入るといった感じになるわけです。

でも彼らの話によく耳を傾けてみると、彼らは決してそんな生活に満足しているわけではないことがわります。仕方なくそんな生活を選択しているのあって、それに代わる選択肢が見出せない、あるいは見出せたとしてもそれを実行できないでいるように思うのです。

生活は、毎日毎日繰り返されていきます。日々のパターンは習慣となり、そのパターンがやがて身体に刻み込まれていきます。身体が夜型の生活に順応できるように学習してしまうからです。そうなると、そこから抜け出すことが少し困難になっていきます。

学校へ行かない子どもが、やがて再び学校へと戻っていくようになる時、そこには大きく3つの要素が必要となります。

第一に心理的安定です。これには子どもたちが今の自分自身に対してある程度の自信を取り戻す必要があります。自分を受け入れ、自分に自信を持つことで、社会に対する信頼が構築できます。

第二に生活リズムの安定です。夜型から昼型へと移行できないと、なかなか学校生活への適応は難しいです。

そして第三に学力問題があります。いくら心理的に安定しても、いくら生活が改善しても、学力がそれに伴っていかないと、次の学校生活に適応するのは難しいものです。

知誠館の子どもたちは、多かれ少なかれこのような3つの課題を克服して、次の進路をみんな切り開いてくれます。もちろん個人差はあります。でも必ず道が開かれていくことを私たちは信じて疑いません。

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